ベンチャー

・ものすごく雑な言い方になるけどさ、
 『Google』が、いまのようなビジネスになるって、
 創業者たちはわかってなかったんだよね。
 ぼくも、「優れた検索エンジンができた」という話で、
 さっそく「じゃぐーぐるにするだよ」と使い出したけど、
 そのころには、どうやって稼ぐのか、
 決まってなかったんだよね。
 
 それよりオソロシイのは、『YouTube』だよ。
 スタートしたときから、「法的に大丈夫なのか?」
 「ダメに決まってるだろう」と、
 シロウトのぼくらだって、思っていたよ。
 だけど、おもしろそうだし、広がっちゃうよね、と。
 他人事なのに、「どうやって会社やってくんだろう」と、
 推理パズルの解答を待つように、気になっていた。
 そしたら、とんでもない答えがあった。
 「会社ごと、Googleが買っちゃいました」だって。
 どうやって稼ぐかの答えはわからないままに、
 「こういう便利でおもしろいもの」という状態のまま、
 お金持ちの会社のひとつの部門になっちゃったわけだ。
 
 いま、日本で「ふつうの考え」とされていることは、
 たぶん、「どうやって食っていくのか」
 確かなことだけをやっていくということだと思うんだ。
 みすみす「儲かるかどうかわからない」ことなどしない。
 それはそれで、しっかりした理屈だと思う。
 ただね、その「ふつうの考え」を認めた上で、
 それだけじゃないような気がすると言いたいわけ。
 
 「これだけ人によろこばれることなら」さ、
 「いつかなんとかなると思う」よ‥‥というのが、
 最初に言った『Google』の例なんか典型だと思う。
 
 そういえば、『はたらきたい展。』の展示を見てて、
 じぶんでも苦笑したんだけれど、
 『ほぼ日刊イトイ新聞』のはじまりも、
 「ビジネスモデルなんて、ことばも知らず」だった。
 この、ふつうから見たら「バカ」に思える成分こそが、
 「ベンチャー」じゃないかなー。
 よろこばせたい、はたをらくにしたい‥‥の冒険ってか。