成長環境とは。

またも、糸井さんの文章。
 
・サッカーでいうと「セリエAで戦いたい」とかね、 
 いまはどうなのか知らないけど、
 格闘技だったら「ブラジルで修業してきたい」とか、
 学問だとかは「国際的な有名大学で勉強したい」とか、
 本場とか名門とか言われる場ってありますよね。

 前に、「どうしてブラジルって、強いの?」と、
 格闘技の選手に訊いたことがあるんです。
 「強いやつがいっぱいいるところで練習してますから、
 それがいちばん強くなるんですよね」と答えてくれた。
 強いやつがうじゃうじゃいる場所ってっていうのは、
 ちょっと強いくらいじゃ話にならないわけです。

 例えば、ある選手が、
 新しくて効果的な技術を身につけたとしますよね。
 強いやつの少ない地域では、ずっとそれで戦えます。
 向うところ敵なしで何年でもやれるかもしれない。
 天狗になっちゃったり練習さぼっちゃったりもしそう。
 でも、「強いやつがいっぱいいる場」では、
 新しい技など、すぐに打ち破られる可能性がある。
 それを防いだり、さらに上回るなにかを身につけないと、
 ぜんぜんおもしろくないことになっちゃうわけです。
 「こんなところでひと安心」なんてことがないんですね。
 周囲の発見やら向上やら成長やら成功やらが、
 ひっきりなしに目に見えてたりするんだから、
 「よーし、おれも!」となるんでしょうね。

 この名門、本場っていう考え方は、
 あらゆる世界にあるものですよね。
 いい会社とか、いい学校に入りたいという理由も、
 「いい刺激」がほしいってことがあるんでしょうね。
 それによって、じぶんの持ってる「ぽてんしゃる」を、
 どんどん発揮していきたい、というような。
 こういうこと、「そんなの厳しすぎていやだ」という人も
 きっといると思うんですよ、ぼくにもその気持ちはある。
 ただ、ね、逆はどうなのかと思うとね。
 本場じゃない場にいたいかとなると、
 いやいや、それは厳しくないけど苦しそうです。
 まぁ、こういう半端なことを言いながら、
 それなりにがんばるってことが、おもしろいのかなぁ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
満足の水準が高いのが本場、ということなのかもしれない。